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黒蜥蜴(くろとかげ)-悪の女王黒蜥蜴の美学-2003年02月25日(火) |
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今にもそれが、肩から頚、頚から顎、そして彼女の真っ赤なヌメヌメとした唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。真にせまった一匹のトカゲの入墨であった 。
(江戸川乱歩 『黒蜥蜴』より)
日本人で読書家だという人には一つの共通点があるように思います。それは子供の頃に江戸川乱歩の洗礼を受けていることです。子供の頃ポプラ社の『少年探偵団シリーズ』を胸躍らせて読んだ方はきっと多いでしょう。
あなたも幻想的で奇妙、摩訶不思議で妖しいものがお好きでは?「江戸川乱歩」と密かにつぶやくと、ワクワクするような感情が心に沸いてくるのではないでしょうか。
しかし乱歩を手に取った少年少女が、明るく健全な少年探偵団ものから、暗く淫靡な乱歩作品へとひかれていくのにそれほど時間はかかりません。怪人二十面相の鬱屈した欲望、明智小五郎探偵と小林少年との妖しい関係に気づいた子供達は、乱歩のダークサイドも見てみたいと願ってしまうのです。
同性愛、人形愛、死体愛、レンズ嗜好症、サド・マゾ、猟奇、フェティシズム、見せ物小屋、コスプレ、のぞき願望、エロ・グロ・ナンセンス……。「子供は見ちゃいけません」と禁止されているものたちが、乱歩の小説には全て詰まっているのです。
私が乱歩作品の中で一番好きなのが、『黒蜥蜴』です。三島由紀夫の脚本や美輪明宏の舞台で有名ですね。
なんでも美輪明宏が『椿姫』の出演を考えていた時に、三島由紀夫に「肺炎で死ぬ役やったって、君みたいにふてぶてしい奴じゃあ、誰も悲しんだりしない。それより黒蜥蜴をやらないか?」と誘われたそうです。
結局、黒蜥蜴と椿姫はどちらも美輪明宏のハマリ役になりましたが、可憐ではかない椿姫よりも、したたかな悪女、黒蜥蜴を演じている方が、美輪明宏は生き生きしているように見えるんですよね。私も舞台を見たことがありますが、豪華絢爛でため息が出るほどセクシーでしたよ。
『黒蜥蜴』はこんなお話です。
神出鬼没の大怪盗、暗黒街に名をとどろかす「黒蜥蜴」。彼女は、宝石商の美しい令嬢、岩瀬早苗の誘拐と一億円のダイヤ「エジプトの星」の強奪を予告します。しかし岩瀬家は当代きっての名探偵、明智小五郎に護衛と捜査を依頼。こうして泥棒と探偵という二人の天才の知恵比べが始まるのです。
「美しいものなら男でも女でも好き。美しいものを全てコレクションしたい」という欲望を持つ黒蜥蜴は、美しい早苗を剥製にして、宝石と共に弧島の秘密美術館に飾ろうとします。時には謎の大富豪「緑川夫人」を名乗り、明智を翻弄する黒蜥蜴ですが、彼女の大きな誤算は、敵である名探偵を愛してしまったことでした。
子供の頃、私は緑川夫人こと黒蜥蜴にとても憧れていました。きれいなものばかり集めた御殿に住む「悪の組織の女王様」。なんて素敵なんでしょう!
黒蜥蜴は、腕にトカゲの刺青をしているためそう呼ばれているのですが、子供の時の私は「大人になったら絶対にトカゲの刺青を入れるんだ!」とノートに刺青のデザインをたくさん描いていたほどです。ま、痛みをこらえられないのとスポーツジムに通えなくなるのが嫌でまだ入れてないんですが。
そうそう言い忘れていました。黒蜥蜴は変装の名手なんです。毎週いろんな人物に変身して、不思議画像の世界に住む私は、ちょっとだけ黒蜥蜴に近づけたでしょうか? あとは明智小五郎のような男性を見つけるだけですね。
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見に行きました。せつないワルツとともにゆったりとおじぎする黒蜥蜴の姿が今も目にやきついています。その美しさ、妖艶さ! 美輪黒蜥蜴はスゴイ。
なんという情報量。これほど乱歩作品を網羅したデータベースはありません。天知茂主演の「江戸川乱歩美女シリーズ」買おうかどうしようか非常に迷ってます。
参考文献
江戸川 乱歩
春陽堂書店
1987
明智小五郎と黒蜥蜴の関係が理解できるようになったのは、大人になってからでした。いえ、まだ分かってないのかも。敵どうしの男女の、青白く燃えるような恋のせつなさを味わってください。
「幻想画廊」 (c) Maria Garcia, 2002-2008