12号「魔女」

恋するフォトショップ〜幻想の画廊から〜

フォトショップを使った、幻想的なCGコラージュを、コラムとともに毎週お届けします。「公募展」に寄せられた読者のみなさまの作品をご紹介するコーナもあります。鑑賞派のあなたも、創作派のあなたもぜひどうぞ!

 

■■12号「魔女」■■

2002年06月25日(火)

◇◆ご挨拶◆◇

私の双子の妹リサは、今中国を旅しています。美しい山々や、人々の様子を撮した写真と、今日はこんなことをした、こんな美味しいものを食べたというメールを毎日送ってくれます。毎日モニターとにらめっこの私としてはうらやましいやらくやしいやら。

なーんて。私にはリサという妹はおりません。ごめんなさい。でもメールは毎日送られてくるんです。何それ? と言う声が聞こえてきそうですが、その種明かしは、「美穂の旅」というサイトにあります。

このサイトに登録すると自分の分身が旅に出て、メールや写真を送ってくれるのです。もちろん無料。私の場合は双子の妹が旅に出るという設定にしてあります。その分身の性格や趣味など細かく登録できるので、結構リアルなメールが送られてくるんですよ。

これまでリサはイギリス、ペルー、ドイツなど世界各地を旅行して、私をうらやましがらせてきました。仕事や学校などで旅行もままならないという方はせめて自分の分身をバーチャルツアーに送り出してみませんか?

「美穂の旅」http://travel.teglet.co.jp/scripts/default.asp?LMODE=0

◇◆今週のギャラリー◆◇

「魔女」

魔女

大きな画像はこちら

魔女熱は非常に恐ろしく、非常に広まっていたので、人間の想像力ではそれを包括できないほどである

(コリン・ウィルソン『魔女術とオオカミ変身術』より)

中世の暗黒時代・魔女狩りの歴史

1500年代から1800年代までの中世ヨーロッパは、魔女狩りに国中が震え上がった暗黒の世界でした。国家とローマ法王庁によって弾圧された異端の者たちは、なんと数十万から数百万人ともいわれています。そのほとんどが激しい拷問を受けた後に、群衆の前で火あぶりの刑に処せられました。

みなさんもご存じの「オルレアンの処女」ジャンヌ・ダルクも、英雄から一転して魔女の汚名を着せられ、生きながらに焼き殺された一人です。

魔女は集会(サバト)を開いて悪魔と性交し、妖術を行う者のことです。天候の不順、人間や家畜の病気、農作物の不作などあらゆる不幸が魔女のせいにされました。

ねたみやそねみによる嘘の密告

魔女は住民からの告発で裁判にかけられました。きちんとした調査の上の証言ではなく、世間の噂や、ねたみ、ウソによる密告が大部分でした。変わった外見や性格をしている者、体が不自由な者、精神を病んでいる者、中には急に財産を手に入れた幸運な者もねたまれて密告されたのです。

1630年代に魔女追求者に任命されたフランツ・ビュイルマンという男は、恋する人妻に振られたのがくやしくて、その人妻を魔女として捕らえて拷問の上殺害しました。しかしこのような不当な裁判は珍しいことではありませんでした。

恐ろしい拷問と自白

逮捕された魔女は劣悪な環境の牢獄につながれ、毎日何時間も続く尋問と拷問を受けました。むち打たれ、焼きゴテをあてられ、水責めにされるという残虐な仕打ちを連日受けるうちに、獄中死する者も多かったようです。生き残った者も厳しい尋問にウソの自白をしてしまって死刑になりました。

時には被告は縄で縛られ、川に投げ込まれました。浮いてくれば魔女である証拠、沈めば無罪といわれていたからです。これではどっちにしろ生き延びることはないんですよね。

キリスト教の異端弾圧

なぜこんなむごい魔女狩りが数百年も続いたのかというと、キリスト教の異端弾圧が激しい時代だったからです。頑固で保守的、狂信的なキリスト教指導者にとっては、自分たちが信じる神以外を信仰する者は断固として排除すべき存在でした。

魔女狩りにともない、妖しげな術を使うということでたくさんの科学者も処刑されました。普通、魔女というと女性を思い浮かべますが、たくさんの男性も「魔女」として告発されたのです。化学、物理学、薬学、医学にたずさわる者は悪魔の手先と考えられました。このことによって中世ヨーロッパの科学の発展は明らかに妨げられました。

瑞穂の国の精神で

よく「日本人は宗教観がなくて、正月もクリスマスも全部やる」などと言われますが、これは日本人の利点でもあります。日本は「瑞穂の国」とも言われますね。風にしなう稲穂は、あっちへフラフラ、こっちへフラフラと頼りないですが、風に逆らうことがないので折れません。イスラムとの対立や戦争を見ても、キリスト教が少し頑固であることを私はとても残念に思っています。「瑞穂」の精神、大いに結構ではありませんか。

ローマ法王庁が進化論を認めたのは1996年!

現ローマ法王ヨハネ・パウロ2世はかなり進歩的な考えの法王と言われていまして、2000年のミサで初めて過去の過ちについて懺悔をしました。しかし魔女狩りについての正式な謝罪はまだありません。

もっとも、ローマ法王庁が「地動説は正しかった」と認めたのはなんと1983年、「人類の祖先はアダムとイブでなく、サルであった」と認めたのは1996年のことなんですよね。魔女狩りについての謝罪は、あと5000年は待たないとだめみたいです。

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参考文献

 オカルト下

C・ウィルソン・中村 保男訳
河出書房新社
1995.7

マリアイギリスの思想家、C.ウィルソンと言えば、博覧強記の知識人。日本で言うと荒俣宏みたいな人ですね。殺人や、オカルティックなものから哲学、心理学まで幅広いテーマでたくさんの本を書いています。この本では魔女や霊などをとりあげ迷信、オカルトについて述べています。

◇◆今週のギャラリーの作業工程◆◇

今回は単純に合成をしているだけです。私の画像の顔の部分に、同じ向きにそろえた猫の顔を張り付けました。背後の猫はそれぞれレイヤーマスクで輪郭をぼかし、新規調整レイヤーで一括して色調をそろえてあります。

最後に、全体を新規調整レイヤーのカラーバランスで赤っぽい色調にして、中世の暗い光の雰囲気を出しました。

◇◆公募展今週の一枚◆◇ テーマ「植物」

このコーナでは、ホームページ「幻想画廊」の「公募展」(画像投稿掲示板)に投稿された作品の中から1作品をご紹介しています。

顔アイコン@つの さん 「森への想い」

森への想い

○使用した画像加工ソフトと画像加工歴を教えてください

IBM  ウェブ アート デザイナー
Adobe  Photoshop LE
半年ぐらいでしょうか?

○この作品について一言

猛禽類へのある思いから、一時間ぐらいで作りました。初めて作りたいとホンキで思った”加工もの”です。まだ思った通りにできない歯がゆさも強く感じますね。

○あなたにとって画像加工ソフトとは何ですか?

コミュニュケーションの道具...にできればいいなって思ってます。(笑) なにせ、某「練受所」の超おちこぼれなもんで。ネット仲間はには、何故か達人(?)が多いんです。

○ホームページをお持ちでしたら、PRをどうぞ

もともとの飼い猫「ちび」の「かわいいでしょう?」系ねこサイト(笑)にするつもりが、何故だか現在スナップ系写真サイトになっちゃってます。今かめらの向く先は、「街」「古い建物」「そと猫」などです。

「Chibi Chibi通信(ちび通)」http://homepage2.nifty.com/CHIBITSUSHIN/

○マリアから一言

通りがかりのペットショップで売られていた猛禽類の姿を見て、作成された作品だそうです。森では自由に飛び回る鳥がペットショップにつながれているのを見るのは私も胸が痛みます。イラスト風の花や周りにほどこされたぼかしが、鳥の少し哀しげな表情を和らげていてホッとします。

◇◆編集後記◆◇

上に書いたように日本人が宗教に対して柔軟で寛容であることはとても素晴らしいのですが、宗教に対して無知であることは問題があると思っています。

よく「自分は無神論者だ」という人がいますね。これは、キリスト教に限らず宗教色の強い国の人々にとっては非常にショッキングな言動であるととられることがあります。それは「自分は人殺しをしてもいいと思っている。自分の兄弟、姉妹や親を殺されてもなんとも思わない。なんせ自分は神を信じていないからね」と発言しているのと同じことだと感じる人が多いからです。多くの国々で、日本人の「無神論者」発言があきれられ、嘲笑の対象となっていることは非常に哀しいことです。

もちろん、キリスト教だけでなく、仏教、神道、儒教、ヒンズー教、イスラム教など多くの宗教に対して知識を持ち、ニーチェの言う「神は死んだ」という言葉の意味、その歴史など正しく理解した上で「それでも自分は無神論を支持する」というのなら、文句は言いません。しかし多くの場合は単なるカッコつけだけで言ってるのではないでしょうか。

他の国の宗教観も尊重する余裕と柔軟性、知識があれば、戦争や偏見、対立も減ってくるのではないかと思います。

幻想画廊」 (c) Maria Garcia, 2002-2008