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フォトショップを使った、幻想的なCGコラージュを、コラムとともに毎週お届けします。「公募展」に寄せられた読者のみなさまの作品をご紹介するコーナもあります。鑑賞派のあなたも、創作派のあなたもぜひどうぞ! |
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■■56号「不朽体(インコラプティブル)」■■ |
2003年06月17日(火) |
◇◆ご挨拶◆◇
携帯のメールが来たら、すぐに返事を書いている人っていますよね。電車の中でも歩きながらでも、メールをもらったら直ちに返事を書かねばならぬとばかりにメールを打っているという。携帯メールをしている人に聞いてみると、「すぐに返事を書かないと、無視したみたいで悪い」とか。大変だなあ。
私はこういう拘束的なものが苦手なので、携帯メールのやりとりはしていません。でもPCメールは、緊急のもの以外は24時間以内に返事を書いています。というか返事を書いて24時間ぐらいわざと置いておきます。
あとで読んで書き直したりするためなんですが(特に夜に書いたメールは朝読むと「アイタタ」って思うことが多いですね)、あまりに早く返事を書くと相手にプレッシャーかなとも思うんです。なんだか「あなたも早く返事を下さい」って催促しているみたいで……。考えすぎなんでしょうか。みなさんはどうしてますか?
◇◆今週のギャラリー◆◇

大きな画像はこちら
それどころか、奇跡はそれで終わらなかった。聖ツィータの遺体には、腐敗の痕跡がまったく見られなかったのである
(ヘザー・プリングル 『ミイラはなぜ魅力的か』)
私のハンドルは、おばの名前を拝借しています。彼女は非常に熱心なキリスト教徒で、バチカンへ聖歌を歌いにわざわざ出向くほどでした。おばはよく私を教会へ連れて行ってくれました。教会では、マリア様などの描かれたカードや、布教のための絵本、お菓子などをくれましたから、それ目当てだったんですけどね。
まったく熱心な信者ではありませんでしたが、キリスト教にまつわるお話は奇想天外で興味深く、私はワクワクしながら聞きました。イエスの姿が写し出されているという「トリノの聖骸布」、手にしたものは世界を手にすることができるという「ロンギヌスの聖槍」、アララト山に埋まっているという「ノアの箱船」……。
今回はキリスト教の奇跡の中でも非常に興味深い「不朽体( incorruptible インコラプティブル)」を取り上げましょう。
下の画像を見てください。
聖ベルナデット
ただシスターが眠っているだけに見えるって? この人は1879年に亡くなったベルナデットさんです。彼女が亡くなって100年以上たつというのに、上の写真のようにその遺体はまるで眠っているかのように、腐敗していないのです。可愛らしい爪や、そっと閉じたまぶたを見ても、まるで生きているようではありませんか。
カトリック教徒はこのように、死後も朽ちることなく生前の姿のままの体を「不朽体(インコラプティブル)」と言い、聖人の証と考えていました。
生前に熱心なキリスト教信者として活動し、神から選ばれた者は不朽体になると言われ、その遺体は信仰の対象としてまつられました。カトリック教会は、いくつかの条件を満たしたものを不朽体として認定しています。その条件とは「腐敗しない」「硬直しない」「えも言われぬ芳香を発している」「遺体のどこかからか出血する」などです。
このような不朽体は全世界に数百体あると言われています。キリスト教徒はこれらの超自然現象を「神の御業(みわざ)」「奇跡」と考えていますが、いったいどのようなメカニズムで遺体が腐敗しないのでしょうか?
ベルナデットは最も有名な不朽体です。彼女は病気を治すという「ルルドの泉」を聖母マリアから授かったことでも知られています。1879年に35歳で亡くなったのですが、遺体は時を止めたように美しいままです。
彼女が息を引き取って30年後、司教の立ち会いのもとに棺を開けると、遺体は全く腐敗していませんでした。そこまでは良いのですが、その後何度か遺体を墓から掘り出したり、また埋め直したりしたことが災いして、遺体は少しずつ傷み始めたのです。そこで1920年代には、保存のために皮膚にロウが塗られました。つまり完全な不朽体ではなく、防腐処置をされているんですね。
聖マルゲリータが亡くなったのは1297年だと言われています。トスカーナ地方の農夫の娘として生まれ、慈善事業に人生を捧げました。死後700年たっても腐敗せず、目も完璧に残っていると言うことです。
イタリア人病理学者のフルケーリが調査したところ、内臓を摘出し、ミイラ化の処理をされた跡がはっきりと確認されました。彼女を聖人視した市民が、教会に死体防腐処理を頼んだのではないかと、フルケーリは推測しています。
1278年に亡くなった、聖ツィータも死後700年が経過しています。肌はやや黒ずんでいるものの、すべすべとしていて爪もつややかです。この不朽体は、科学的な調査をしてもまったく防腐剤は検出されませんでした。内臓も完全に残っており、まさにパーフェクトな不朽体です。
聖ツィータ
フルケーリは遺体が安置されていた墓所の室温が低いことと、内部がアルカリ性の石で覆われていたことから、自然に乾燥しミイラ化したのではないかと考えています。
はたしてこれが「奇跡」なのか、偶然が重なった「自然現象」なのかは分かりません。それでも私たちは不朽体を目の当たりにするとき、それに惹かれずにはおれません。それはなぜでしょう。
私のおばは私が中学生の時に亡くなりました。あれほど熱心な信者だったのに、不幸にも若くして亡くなってしまい、私は無常観と悲しみで胸がいっぱいでした。人間は死から逃れられません。それを思い知るとき、人はどうしようもなく寂しい気持ちになるのです。
しかし不朽体を見るとき、私たちは少しだけ「永遠の生」を夢見ます。たとえ人工的に手が加えられた遺体だとしても、腐敗しない聖人に畏敬の念を感じるのはそのためかもしれません。
関連記事
The Saints(English)
不朽体の写真(中央の「The Incorruptibles」のリンクから)
参考文献
へザー・プリングル 鈴木 主税訳 東郷 えりか訳
早川書房
2002.5
ミイラは『年月のたったただの死体』でも、こんなにも人を惹きつけるのはなぜなんでしょう? ミイラに魅せられた著者が世界中を飛び回り研究した、ミイラに関するフィールドワーク。
◇◆今週のギャラリーの作業工程◆◇
私の大好きな写真家ピエール&ジル風です。すでにいくつかこの手の作品を描いていますが、キッチュかつラブリーで大好きなアーティストです。
ステンドグラス風の背景、もとの画像は何だと思います? 実は「東京都庁の風景写真」なんです。それをパターンとして登録し、万華鏡のようにコピーペーストして作ったんですよ。意外でしょ?
ピエール&ジル風の画像の描き方は 新フォトショップ講座1 「花に囲まれブロマイド」を参考にしてくださいね。
◇◆公募展今週の一枚◆◇ テーマ「身のまわりの小物」
このコーナでは、ホームページ「幻想画廊」の「公募展」(画像投稿掲示板)に投稿された作品の中から1作品をご紹介しています。

○使用した画像加工ソフトと画像加工歴を教えてください
フォトショップ5.5 2年ちょいデス。
○この作品について一言
現在放映されている『ガンダムSEED』のイザーク・ジュールとその愛機のデュエルガンダムを、建物の屋上でセルフで撮った自分と自前σ(^_^;)の衣装にプラモデル、光源などにハロゲンヒータを用いて作りました★
戦争が題材になっている殺伐とした雰囲気が出せたかなぁ…と思っています。
○あなたにとって画像加工ソフトとは何ですか?
ありえないモノを創りだせる素敵な道具デス☆
使う人によって何千何万と違う形を生み出してしまう凄いソフトです!!
○ホームページをお持ちでしたら、PRをどうぞ
加工作品というか、衣装や少々片寄った領域に入るサイトなのですが…私で良かったのでしょうかドキドキ…
「裏白乙女妄想」http://hakuotome.fc2web.com/
○マリアから一言
コバヤカワさん自身がモデルとなっている作品ですね。おおっ、美しい! 光の方向、色調など、よく考えられていて合成・加工の技術もピカイチですね。個人的に大好きな作品です☆
◇◆編集後記◆◇
それにしてもキリスト教の「奇跡」や「伝説」って、トンデモっていうか、摩訶不思議で奇妙奇天烈なことが多いですね。ちょろっと書きましたけど、トリノの聖骸布はカーボン14の年代測定で、中世のものだと発覚してしまったり、ノアの箱船の破片といわれるものが全くのニセモノだったりと、科学の発展によって夢がなくなってしまうのが残念です。
そういえば、何かで読んだのですが日本全国のお寺に伝わる「お釈迦様の骨」を全部集めると、お釈迦様は何十メートルもの巨人になってしまうとか。いくつかはニセモノが混ざっているということでしょうか。でもこれを「DNA鑑定で……」っていう話になると、それもやっぱり夢がないようでつまらないかも?
「幻想画廊」 (c) Maria Garcia, 2002-2008