【グレムリン】飛行機乗りが噂する妖怪。旅行の時はご用心

そうさ。この女なんだよ。男は、飛行機乗りは、彼女に出逢うために、空を飛ぶのさ。彼女に出逢うために鉄の鳥を発明したのさ。

(『グレムリン』井上雅彦 より)

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アテンションプリーズ

本日はご搭乗ありがとうございます。離陸の前にお客様にご注意がございます。左右の窓をご覧下さい。翼の上に何かがお見えになるときは、すぐにお近くの乗務員にお知らせ下さいませ。え? 緑色の人間が翼に乗っている? なんてこと! 機長! 機長!

映画『グレムリン』と小説のグレムリン

飛行機の中に潜んで、時々悪さをする緑色の妖怪、それがグレムリンです。グレムリンというと、ジョー・ダンテ監督の『グレムリン』という映画を思い出す方もいらっしゃるでしょう。

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主人公の少年はチャイナタウンで、不思議な生き物「モグワイ」を見つけます。でも彼は飼うときの3つの約束を守らかったため、モグワイが残虐な怪物「グレムリン」に変身してしまうのです。グレムリンは物を壊しまわり街中をパニックにおとしいれます。

またSF作家リチャード・マシスンの『高度2万フィートの悪夢』では、翼の上で金属板をはがす怪人と戦う、主人公の恐怖を描いています。飛行機に乗って翼を見ると、結構バタバタと揺れ動いてますよね。その様子を見るとグレムリンが乗っているんじゃないかと、いつもこの小説を思い出します。

グレムリンはイギリス出身

グレムリンが有名になったのは第二次世界大戦中の英国。どんなに念入りに整備をしても、なぜか飛行機のエンジンが故障してしまうことが何度もありました。パイロットや整備士たちが不思議がって調査したところ、なんと真夜中に格納庫の中で、飛んだりはねたりしている緑色の妖精を目撃したのです!

もちろんこれは英国空軍の飛行機乗りの間でささやかれた伝説なのですが、実際に思いがけない飛行機の故障があることを、整備士は「グレムリン効果(Gremlin Effect)」と呼ぶそうです。

ビール瓶は飛行機乗りのお守り

グレムリンの名前の由来は「嘆き悲しむ」と言う意味のアングロ・サクソン語 Gremianから来たとか、グレンデルという怪物の名前からとられたとか、爆撃基地の飛行中隊の名前からつけられた──など様々な説があります。ビール飲みを意味するフレムリンという言葉が変化したといわれることもあり、そのせいか空のビール瓶を飛行機に乗せておくとグレムリンが現れないというおまじないも信じられています。

本当は人間の味方の妖怪なのに……

悪いことばかりするイメージがあるグレムリン。実は職人を守護したり、新技術を人間に教えたりといい面もあるのです。例えばベンジャミン・フランクリンの電気を手伝ったとも言われていますし、ジェームズ・ワットはグレムリンの示唆によって蒸気機関を発明したそうです。

元々グレムリンは人間を手助けする妖精でした。しかし人間は自分たちの技術に慢心してしまいました。グレムリンは、自分たちを軽く見る人間に激怒し、機械を自由自在に操って人間に復讐をするようになったのです。

何度も整備したはずのエンジンのネジが、なぜかゆるんでいた。直したばかりの自動車が、どうしても動かない。さっきそこに置いたばかりのスパナがどこかへ行ってしまった──こんな時はグレムリンがいたずらして、人間が困っている姿を見てこっそり笑っているのかもしれません。

我が家のグレムリン

実は私の家にも一匹住み着いているんですよ。コンピュータの中に。作品がやっとできたという瞬間にコンピュータをフリーズさせたり、何の衝撃も与えていないのに、なぜかハードディスクがガチガチとおかしな音をたてて壊れたりするんです。まったくグレムリンったら、困ったもんです。

でも締め切り直前に驚くほど筆がすすんだり、どっからともなくアイデアが浮かんだりするのが彼らのおかげだとしたら、プラスマイナスゼロかな。

参考文献

『奇妙な幻獣辞典』井上 雅彦

飛行機乗り達が夢想するグレムリンの他、ユニコーン、カトブレバス、龍──など空想上の獣たちを、ホラーの第一人者井上雅彦が美しい短編で描きます。ひと味違う幻想物語。

このブログは2001年07月23日開設のサイト「幻想画廊」を2019年にWordpressで移築したものです。この記事は16年前の、2003年02月11日(火)に書かれました。文章の内容を変えずにそのまま転載してあります。リンク切れなど不備もありますが、どうぞご了承くださいませ。

元サイト「幻想画廊」はこちらです。

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