2000年に誕生した赤ん坊が2150年の夏に花火を楽しく見上げているような日がきっと訪れるに違いない。
(『ヒトは150歳まで生きられる 人体革命の世紀を迎えて』呉 柏林 より)
友人とおばあちゃん
先日友人の家に遊びに行ったときに、彼女のおばあちゃまも交えてみんなでお喋りをしました。おばあちゃまは孫である友人が可愛くて可愛くて仕方ないらしく、小さな時のエピソードをたくさん語ってくれました。友人は照れて「もういいよー」なんて言ってましたが、おばあちゃまはとても楽しそうでした。
私のおばあちゃん
私の祖母は私が幼い時に亡くなりました。物心つく前に亡くなったため全く記憶がありません。昔の人なので写真もなく、母から「色が真っ白で茶色の瞳だった」と聞いていろいろ想像していました。
母が「おばあちゃんはお前が『おばあちゃん大好き』と言ってくれることがすごく嬉しいと言って、涙ぐんでいた」と教えてくれたことがあります。そんなことぐらい今だったら何百回でも言ってあげるのにな。
今回の絵を描くにあたって何枚もお年寄りの写真を集めました。写真を合成しながら、どんな人でも(もちろん私も)老化ししわが顔に刻まれていくのだと思うとなんだかとても奇妙な、不思議な心持ちがしました。
旧石器時代の寿命は、20歳!?
老人の定義は時代によって大きく異なっています。ハーバード大学の呉 柏林助教授の著書では人類の寿命の伸びについて述べています。
ローマ統治時代のエジプト人の平均寿命:22.5歳。
10~12世紀のハンガリー人の平均寿命:28.7歳。
17世紀のイギリス人の平均寿命:33.5歳。
19世紀初頭の先進諸国の人間の平均寿命:35歳から40歳
19世紀後半に入っても人類の平均寿命は40歳ぐらいで頭打ちでした。それが今や2000年に発表された日本人の平均寿命は、女84.60歳、男77.72歳。人類はかつてないほどの長寿を得ることができたのです。現在では40歳で老人というのはちょっと違和感がありますが、昔なら40歳は長生きの老人と言われたかもしれませんね。
人は何歳まで生きられるのか?
では人間はいったい何歳まで寿命を延ばすことができるのでしょうか? 呉 柏林助教授によると、生物の寿命を計算する方法は成長期や性成熟の期間から算出する方法、細胞分裂の周期、細胞組織の変異から算出する方法──などがあり、それぞれ計算してみるとどれも人間の寿命は100歳から170歳の間になります。
170歳というのはちょっと楽観的すぎるかなとも思いますが、120歳ぐらいまでは可能な線ではないでしょうか。
現在ほとんどの人間がそこまで長く生きられずに死ぬのは、事故や病気などが原因です。しかし今後の臓器移植や遺伝子医療の発展によって、平均寿命がより伸びていくことが想像できます。私たちは祖父や祖母の時代よりも長く人生を生きることになるのです。
今後の人間の課題はその長い人生──特に老齢期をどうやって豊かに生活していくかです。
「青い、青い!」
友人のおばあちゃまや私の祖母のように、年をとったらとった時期の幸せや楽しみがあるはずです。私たちはこれからは余命の心配ではなく、健康で幸せに生活することに全力を注がねばなりません。退屈に生きるには人生は長すぎます。
よく女子高生が「高校卒業したらもうおばさん」などと言っていますね。私も大学生になった当時はもう若くないんだなあなんて思ったりもしました。昔の私からすると現在の私はおばさんですが、「失ったものもあるけど、小娘にゃあ分からない楽しい生活送ってんのよ!」と笑って言い返せます。きっと今の私も何十年後かの私に「何を言ってるの。20代のあんたなんかまだまだ青い、青い」と笑われるのでしょう。
とりあえず私は孫ができたら、みんなの前で褒めちぎって孫を赤面させたいものだと思っています。
参考文献
『ヒトは150歳まで生きられる 人体革命の世紀を迎えて』呉 柏林
遺伝子研究を老化の視点で解説しています。難しそうですが中学生でも読みこなせるような分かり易い文章で、遺伝子研究の歴史からクローンや遺伝子治療など最新の科学までが書かれています。150年も生きられたら何しようかな??
このブログは2001年07月23日開設のサイト「幻想画廊」を2019年にWordpressで移築したものです。この記事は21年前の、2002年07月23日(火)に書かれました。文章の内容を変えずにそのまま転載してあります。リンク切れなど不備もありますが、どうぞご了承くださいませ。