幻想画廊(英語版)
La Galeria Fantasia(2003年12月〜2008年03月)
「La Galeria Fantasia」は幻想画廊の英語版サイトです。Googleアドセンスが日本で始まった2003年に英語圏からの収入を見越して開設しました。幻想画廊のコラムを翻訳して画像とともにアップしところ大量の流入があり、かなりの報酬を得ました。
「幻想画廊」英語版・La Galeria Fantasia
タイトルの「La Galeria Fantasia」はスペイン語で「幻想の画廊」です。なぜスペイン語なのかというと、私がマリア・ガルシア(Maria Garcia)というスペイン語圏の名前をハンドルとして使っていたからですね。スペイン語を話せるのかって? Un poquito.(ちょこっとだけね)2019年現在、もうすっかり錆びついてしまっています。

なぜ英語版を作ったのか?
英語版を作った理由ははっきりしていて、2003年の12月にGoogleがコンテンツ連動型広告配信サービスであるGoogle Adsense(グーグルアドセンス)を始めたからです。私は英語の読み書きができたので、英語圏でネット広告バブル状態になっているのを知っていました。だから必ず日本でも間もなく爆発的なネット広告ブームが来ると予想しました。
けれども2000年台初頭の日本の会社は今よりももっと保守的で、当時はネット広告に懐疑的な企業も多かったのです。そのため英語圏のネット広告報酬と日本のネット広告報酬は、数倍〜10倍ほどの開きがありました。
日本ではまだアドセンスだけで食べていけなかった
特にアメリカでは月に数十万〜数百万稼ぐアドセンス長者が続出していました。アメリカの企業は我先にと広告を出しましたから、クリック単価もかなり高額だったのです。しかしながら日本はまだ広告収入だけで食べていくことはできない状態でした。
せっかくアドセンスを導入しても、クリック単価が米国の10分の1では話にならない……とがっかりしていましたが、ある時「あれ? ひょっとして英語のサイトを作ればいいんじゃないか?」と思いつきました。
英語版「幻想画廊」にどんどん海外から人がやってきた!
それからは毎週コツコツとギャラリーのコラムを英語に翻訳して、合成画像作品とともにアップしていきました。新作を更新したら英語圏版の2ちゃんねるである4chanに画像をアップして「みんな見に来て!」と宣伝しました。
4chanは日本文化に興味を持っている若者が多かったので、私の英語版サイトにたくさんの方々がやってきました。感想メールやファンレターも続々と届きましたし、日本の文化やサブカルチャーなどについても掲示板でご紹介できたこともとても嬉しかったです。
アドセンスのコードを書き換えて英語広告が出るように改造
現在は許されていないのですが当時のアドセンスはまだ規約がゆるかったので、ある程度アドセンス広告コードを書き換えることができました。
せっかく英語圏からお客さんが来てくれても、日本語の広告が出たのでは彼らは読むことができません。だからアドセンスのコードを書き換えてIPアドレスが海外のものは英語圏の広告が出るように改造しました。
すると広告単価が一気に日本の数倍〜数十倍となり、報酬が跳ね上がりました。……すみません。なんだか収入のことばかり書いていますが、20代の時の私はデザイン事務所でアルバイトのような仕事をしていたので、いかに収入を上げるかは死活問題だったのです。そして日本語版のフォトショップ講座、英語版の幻想画廊はアドセンス広告の7割を占める収入源となりました。
4chanの思い出
4chanの思い出としては「キューティーハニー」をアップした時のことをよく覚えています。4chanのJapanese Culture(日本文化)板はアニメ好きな方が多かったので、「これはきっと話題になるぞ」とワクワクしていました。ところが画像をアップしても全然反応がありません。
「キューティーハニー? なにそれ?」状態。なんでみんなキューティーハニー知らないんだろうと不思議に思っていたところ、ヨーロッパ圏の人が教えてくれました。アメリカではアニメはあくまで「子供の見るもの」なので、かなり規制が厳しいのです。
タバコ、銃、裸が出てくるアニメは放映されていなかったんですね。キューティーハニーは変身シーンで一瞬裸になりますから規制の対象となり、放送禁止となっていたんだと分かりました。えー、キューティーハニーを知らないなんてもったいないなあ! こんな面白いことも4chanで知ることができました。

お前、日本人じゃないだろう!
4chanでは私は日本人として書き込みをしていたのですが、掲示板にいた人が私のプロフィールページを見て「お前、日本人のふりしてるけど日本人じゃないだろう! Maria Garciaってヒスパニック系じゃないか!」と怒り出したことがありました。
当時の4chanは日本に憧れを持っている外国人が多く、日本はいつか訪れたい夢の国──というイメージだったからか、日本人になりすます人を叩くような傾向もありました。必死になって「マリア・ガルシアはハンドルで本名じゃない」「今から日本語で書くから信用してよー」と弁明したりしましたが、私はしどろもどろになってしましました。
でも中にいた一人が「でも彼女のIPはTOKYOになってるから、少なくとも日本に住んでることは間違いないよ。嘘つき呼ばわりはやめようよ」とかばってくれて事なきを得ました。どこのどなたか存じませんが、いつぞやは本当にありがとうございました。
無駄だと思っていた英語学習が役立った!
大学生時代に英検1級、TOEIC985点、通訳検定、翻訳検定──など片っ端から英語の資格を取得しました。勉強ばかりの学生時代でした。でも2000年台初頭は超就職氷河期時代だったので、女子学生はまったく就職先がない状態でした。せっかく身につけた英語力も活かすことができず、「私のやってきたことはすべて無駄だったのか……」と絶望しました。
でも英語版を作って海外の人と交流することができたのも、必死になって学生時代に英語を学んだおかげでした。また幻想画廊にアドセンス広告を導入して15年間で得た報酬は(アドセンスの規約ではっきり言うことができませんが)BMW 3シリーズを3台購入できるほどの莫大なものでした。そしてこの報酬は後に私が建設することになる蒸気邸(スチームパンク屋敷)の費用の一部となりました。

ありがとう La Galeria Fantasia
英語学習は私にたくさんの幸せをもたらしてくれました。無駄なことなど一つもありませんでした。英語版「幻想画廊」La Galeria Fantasiaを作ることができて、本当に幸運だったと思っています。2019年のサイトリニューアルにともない、英語版サイトは閉鎖しましたが、思い出として大切に脳の中にしまっておきます。ありがとうLa Galeria Fantasia。さようならLa Galeria Fantasia。
あなたが学んだ知識はきっと未来のあなたを助けてくれます
学生のみなさんは時には「こんな勉強何の役に立つんだ!?」と叫びたくなることもあると思います。でもあなたが頭に詰め込んだ知識や教養は、未来のあなたをきっと助けてくれます。たくさんの人との出会いと、高額の収入をもたらしてくれるかもしれませんよ。だから学び続けてください。諦めなければ、かならず勉強はあなたの強い味方になってくれます。【マリア・ガルシア&五十嵐麻理】