【纏足(てんそく)】世にも恐ろしい纏足の作り方。あなたは耐えられるか?

纏足するまえの子どもはまだ女でも男でもありゃしないんだ。纏足してはじめて女になるんだよ。今日からはあんたもうまえとは違って、一人前の女なんだよ。

(『纏足―9センチの足の女の一生』馮 驥才 より)

昔の中国に生まれていたら……?

私の足のサイズは21.5です。サンダルなどは21センチでないとだめなんですね。でも女性のサイズは普通23センチ以上なので、靴を探すのは一苦労です。

小さい時の私は分厚いメガネをかけて、本やマンガ、ゲームに熱中しているかなりイケてない子どもだったので(今もあまり変わってないですが)、母はいつもこんなことを言っていました。

「昔の中国に生まれていたら、足の小ささで嫁のもらい手もあるだろうにねえ」

中国の奇習「纏足」

Jo Farrell Zhang Yun Ying’s feet in lotus shoes / 19 Photos Of The Last Surviving Chinese Women With Bound Feet

纏足(てんそく)」は女性の足は小さければ小さいほど良いという価値観から生まれた中国の奇習です。千年ほど前から始まりましたが、現在はほとんど行われていません。纏足は私にとってとても魅力的で「足がもっと小さかったら、私も中国ではモテていたのかなあ」とぼんやり空想にふけったものです。

ところが大人になって纏足の実体を知った時は、その恐ろしさに震え上がりました。それまでは「足を縛っておけば、成長が止まって小さい足になる」ぐらいに思っていたのですが、そんな甘っちょろいものではありません。

世にも恐ろしい纏足の作り方

纏足は女の子が3、4歳ぐらいの時に行われました。それ以上になると骨が硬くなるからです。母親、祖母、親戚の女性などが、心を鬼にして作業をしたそうです。以下は纏足の作り方です。

【1】ニワトリを2羽用意します。ニワトリの胸を包丁で切り開き、女の子の足を片方ずつその中に突っ込みます。生きたニワトリの靴をはくようなイメージです。これは暖かい血と内臓で足を柔らかくするためです。

【2】血まみれになった足を取り出し、たらいの水で洗います。足をよくふいたあと親指をのばして、その他の4本の足の指をしっかり握ります。それを力任せに足の裏に向けて折り曲げます。女の子が泣き叫んでも容赦せずに、バキッと一気に骨を折るのがコツです。

【3】長さ10m、幅10cmほどの布を用意して、作法にしたがった巻き方で足をしっかり巻いていきます。端まで巻き終わったら、針と糸で細かく布を縫いつけて固定します。もう片方の足も同じようにします。

【4】骨折で足はふくれあがり、焼けつくような痛みがありますが、寝たままだと美しい形にならないので、女の子を無理矢理歩かせます。膿が出て布が汚れると新しい布で巻きなおしますが、とがった足になるように前よりもきつく巻きます。

【5】数日歩かせたあと、茶碗のかけらを足の下にしきます。歩くたびにかけらが足に突き刺さり、肉がそげ腐っていくので、膿んだ肉や皮膚を削って美しい形に整えます。

どうして纏足にしたのか

聞いただけで足がむずむずしてきます。なぜこんな痛く苦しい思いまでして纏足をしたのでしょうか?

一番の目的はセックスでした。バランスがとりにくいために、内股の筋肉と女性器が発達するのです。また小さい足でよちよちと歩く様は当時の中国の男性にとってたいへん愛らしく感じたようです。実際に美しく小さな纏足の持ち主にはプロポーズが殺到しました。

女性は就寝の時も靴を脱がずに休みました。彼女たちにとって裸を見られるよりも、纏足靴を履いていない足を見られる方がずっと恥ずかしかったのです。隠されたものを見たくなるのは人間の性。纏足は当時の中国人にとって最高にエロティックな部分でした。

しかし寝るときも靴を履いたままという生活では、足も蒸れてかなりのにおいになります。当時は、そのにおいこそがセクシーで良いという価値観だったようで、纏足の小さな靴に酒をそそいで飲むのが「粋」ともいわれていたとか。究極のフェティシズムですね。

理想の纏足って何センチ?

Jo Farrell / Su Xi Rong, 75. (1933—) / 19 Photos Of The Last Surviving Chinese Women With Bound Feet

理想的な纏足の大きさは「三寸金蓮」と言って、約9センチほどだったそうです。定規で測ってみるとあまりの小ささに驚きます。手のひらに空想の靴を思い浮かべてみて、「昔の中国に生まれても、こりゃあ無理だな」と根性なしの私はため息をつくのでした。

参考文献

『纏足―9センチの足の女の一生』馮 驥才

貧しい農家に生まれた主人公、香蓮は祖母から施された美しい纏足で名家に嫁ぎ成功していく。天津一の美脚の持ち主としてのし上がったヒロインを待ち受けていたのは、中国の近代化だった。纏足をめぐる数奇な運命に翻弄される主人公をユーモアとペーソスを込めて書いた傑作!

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