「古今東西の不思議なお話からイメージされた作品です。

【ヴァンパイア】吸血鬼カーミラと殺人鬼エリザベート・バートリー
ええ。とてもね、残酷な恋、不思議な恋でね、わたくしあのままでいったら、命をとられたでしょう。恋には犠牲がつきものなのね。犠牲には血がつきものだわ。(『吸血鬼カーミラ』レ・ファニュ より)

【草原の夜】夭折した天才詩人・金子みすゞの視点
『草原の夜』 ひるまは牛がそこにいて、 青草たべていたところ。 夜ふけて、 月のひかりがあるいてる。(『草原の夜』金子みすゞ より)

【愛の手紙】『愛の手紙』(ジャック・フィニイ)机の引き出しの恋文
信じてください。ぼくは、きみがこれを読む八十年もあとの時代に実在し、生きているのです。きみと恋に落ちたことを、心の底から信じながら(『愛の手紙』ジャック・フィニィ より)

【夜】チルチルとミチルと一緒に、不思議な国々へ行ってみませんか?
人間はなにをもくろんでいるんだろうねえ? なにもかも全部知りつくさないと気がすまないのだろうか? 人間はあたしの秘密の三分の一は知ってしまった。(『青い鳥』メーテルリンク より)

【黒蜥蜴(くろとかげ)】『黒蜥蜴』江戸川乱歩 悪の女王の美学
今にもそれが、肩から頚、頚から顎、そして彼女の真っ赤なヌメヌメとした唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。真にせまった一匹のトカゲの入墨であった 。(『黒蜥蜴』江戸川乱歩 より)

【オフェーリア】死せるヒロイン・なぜ水死する少女に私たちは恋をするのか?
そして詩人は語るのだ、星の輝く夜になると摘んだ花を探し求めにおまえが来ると、長いヴェールに横たわる蒼白いオフェーリアが大きな百合の花のように流れを漂うのを見たと。(『オフェーリア』ランボー より)

【楽園】『瓶詰地獄』近親相姦を扱った、美しくも哀しい南国の悪夢
ああ神様…………私たち二人は、こんな苛責(クルシミ)に会いながら、病気一つせずに、日に増し丸々と肥って、康強(スコヤカ)に、美しく長(ソダ)って行くのです、この島の清らかな風と、水と、豊穣(ユタカ)な食物(カテ)と、美しい、楽しい、花と鳥とに護られて…………(『瓶詰地獄』夢野久作 より)

【蛙の王様】こんなひどいプリンセス見たことない! 史上最悪のお姫様
わたしはもうおなかがいっぱいで、ねむくなりました。さあ、わたしをあなたの部屋へつれていって、あなたの絹のふとんで寝るしたくをしてください。ふたりで寝ることにしましょう。(『蛙の王様または鉄のハインリヒ』グリム より)

【忍び】『あずみ』江戸時代の町人は走れなかったって本当なの!?
走り方を一目見て、ああ、あれは武士であるとか、飛脚であるとか、どういう人間がすぐ分かったと思います。(『古武術の発見―日本人にとって「身体」とは何か』養老 孟司・甲野 善紀著 より)

【アリス】『不思議の国のアリス』少女を愛し続けたルイス・キャロルの夢
あんなばかげたお茶の会に出たのは、生まれてはじめてだわ!(『不思議の国のアリス』ルイス・キャロル より)

【青ひげ】『血染めの部屋』愛する女を試し続けた男の悲劇とは
約束してくれないか、色白の顔のわがピアニストよ。鍵束の全部の鍵を使ってもよいが、きみに見せたあの最後の鍵だけは絶対に使わないことを約束してくれないか。(『血染めの部屋 大人のための幻想童話』アンジェラ・カーター より)