【あやかし】トロントの心霊研究グループが行った実験・架空の幽霊フィリップ

フィリップの幽霊は、彼の領地で戦争があるたびに目撃され、いつも苦悩の表情で歩いている。

(『世界怪異現象百科』ジョン・スペンサー アン・スペンサー より)

あなたにも見える、さまよえる幽霊

「あ、この写真なんだけど……。田舎のおばあちゃんの家で撮したんです。何気なく撮ったものなんだけど、なんか変なの。ほら、ここ、よく見て……。きゃー!!」

ということで心霊写真を作ってみました。え? いつも作者がモデルになってるのに、建物しか写ってないって? もっとよーくご覧あれ。ほら、あなたには見えませんか? さまよえる霊が。(じーっと見てみてくださいね)驚かれた方、本当にごめんなさい!

【2019年03月03日追記】残念ながらこの画像はWordpressではうまく表示できませんでした。元サイトのページを残してありますので、ぜひこちらをご覧ください。でもびっくりされませんように。

毎年この季節になると、テレビでも心霊体験の特集番組をやったりします。その一方で「霊なんぞいるわけない!」と真っ向から否定する方々のトークバトル番組もあったりして。昔から怪談話や肝試しは夏の風物詩です。

トロントの心霊研究グループが行った実験

先日読んだジョン&アン・スペンサーの『世界怪奇現象百科』は、幽霊についてのレポートが300例以上も載っている心霊研究本です。心霊現象についての非常に興味深い実験が載っていたのでご紹介します。

A・R・G・オーウェン博士を中心とするトロントの心霊研究グループが1972年にある実験を行いました。彼らは全く架空の幽霊話をこしらえたのです。

幽霊・フィリップを作り出せ!

17世紀のイギリスの貴族フィリップはジプシーの娘と恋に落ちるものの、彼女は魔女として火あぶりの刑にされてしまう。フィリップは彼女の事を悔い、さまよえる魂となる。フィリップは死後も彼の領地で戦争があるたびに目撃され、いつも苦悩の表情で歩いている。

これはグループのメンバーが考えた設定で、実際にはフィリップなる貴族はいません。彼らははその設定を暗記し、フィリップが本当に存在するとして強く思いこみました。ある仲間はフィリップの肖像画まで用意して幽霊話を盛り上げたほどです。

架空の霊・フィリップ登場

そして彼らはフィリップの霊を呼び出すために降霊の儀式をしました。最初は何も出てこなかったのですが、1973年にはなんとフィリップの霊と遭遇することに成功したのです。

フィリップはラップ音(ピシッ、パシッという木を打つような音)で彼らと交信しました。質問するとあらかじめ彼らが考えておいた設定通りにきちんと答えるのです。ある時はテーブルがひとりでに動き回り、1974年にはテレビ局のカメラの前でもラップ音で返事をしました。

フィリップのその後

ある時、メンバーの一人がフィリップに向かって「お前は僕たちが作ったんだ」と言いました。どうなったと思いますか? フィリップは消えてしまったのです。ぱったりと。この実験は数々の心霊現象を解く、非常に重要なケースになりました。

この実験では幽霊の存在を否定する結果が出てしまいましたが、では私たちの精神が持つ力とはいったい何だろうという新しい謎が生まれました。思いこむだけで実際に幽霊がいるように、ラップ音が鳴ったり、テーブルが自由に動き回るなんて、きっと実験した彼らも頭をかかえたでしょうね。

幽霊の存在を確かめる唯一の方法

幽霊については私は信じる信じないというよりも、幽霊をとりまく人間自体にとても興味があります。どうして霊が怖いのか、なぜ霊を信じるのか、信じないのか、なぜそれが見えるのか、見えないのか──たくさん謎があるから面白いのです。大槻教授には悪いですが、全てがプラズマで説明がついたら世の中面白くない!

幽霊はいるのかいないのか。確実に分かる方法がひとつあります。実際に死んでみることです。でもこればっかりは確かめる訳にはいきません。でもその最後の瞬間が訪れるまでは、この世の不思議に頭を悩ませるのも楽しいではありませんか。

参考文献

『世界怪異現象百科』ジョン・スペンサー アン・スペンサー 桐生 操監修

イギリス人心霊現象研究家のジョン&アン・スペンサー夫妻が集めた、幽霊の目撃談、体験談などが300例も載っています。分厚い本にぎっしり詰まった幽霊話には『ポルターガイスト現象』についての詳細なレポもあり。ゴーストハンターの心得などもあって興味深いです。

このブログは2001年07月23日開設のサイト「幻想画廊」を2019年にWordpressで移築したものです。この記事は20年前の、2002年07月09日(火)に書かれました。文章の内容を変えずにそのまま転載してあります。リンク切れなど不備もありますが、どうぞご了承くださいませ。

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