旅先で自分が作ったマネキンに出会うと、その街や店に特別の親しみを感じたりする。ヒトガタを作っているので、マネキンを商品という感覚で見ることがなかなかできない。
(『マネキン美しい人体の物語』欠田 誠 より)
人形っぽい肌にするには
もうすっかり街はクリスマス一色ですね。オーナメントで飾りつけられたツリーや、きらめくライトアップで、とっても華やかな雰囲気! 今回はお店を飾るマネキンを描きました。
髪を人形のような発色の良い金色に変え、肌にフォトショップフィルタの「ラップ」でニスを塗ったような光沢をかぶせています。人形っぽさが足りなかったので、球体関節人形風に加工しました。肌を人形のようなつるつるとした質感に変えて、生っぽさを消すのは難しいですね。
リアルマネキン、受難の時代
ちょっと昔まではマネキンは割とリアルなものばかりでしたが、最近のマネキンは頭がなかったり、抽象的な形をしたものが多いようです。今の個性派時代には、自分のイメージを反映させにくいリアルなマネキンは必要ないのかもしれません。この作品のようなマネキンのいるショウウィンドウは、実際あまりないのかも。マネキン受難の時代ですね。
さびれた商店街には、ときどき古いタイプのリアルなマネキンが飾ってあります。鼻もかけ、顔も汚れていて、ひっそりと店の傍らに立っています。彼女も最初は最先端のファッションに身を包み、街ゆく人の視線を浴びていたのかもしれません。
彼女は生まれてから一度も瞬きしない目で時代を見つめ続けて、これからもたたずみ続けるのでしょうか。
参考文献
『マネキン美しい人体の物語』欠田 誠
300体以上のマネキンを制作してきた著者が、日本のマネキンの歴史を語ります。制作の苦労話など、著者の青春エッセイとして読んでも面白いですよ。
このブログは2001年07月23日開設のサイト「幻想画廊」を2019年にWordpressで移築したものです。この記事は20年前の、2001年12月04日(火)に書かれました。文章の内容を変えずにそのまま転載してあります。リンク切れなど不備もありますが、どうぞご了承くださいませ。