【ナスカの地上絵】クモ、サル、トリの絵は異星人の飛行場跡!? 地上絵の謎に迫る!

軽飛行機がナスカの上空にさしかかったとき、コソックは自分の目を疑った。果てしなく広がる砂漠に、複雑に絡み合った夥しい数の図形や線が描かれているのを見つけたからだ

(『世界ふしぎ発見! これが世界の新・七不思議』 より)

巨大娘の落書き?

ユネスコの世界遺産にも登録されている「ナスカの地上絵」には謎がいっぱい! クモ、サル、トリ、植物、幾何学模様など、こんな巨大な絵をどうやって描いたのか、そしてその目的は? 実はこんな巨人がひまつぶしに地面に描いた落書きだったんです……なわけないですよね。

今回は宇宙人が離着陸のために描いた滑走路だとも噂される、不思議な遺跡をとりあげました。

数千年、地上絵が保たれた理由

ナスカの地上絵は全部で200以上もあります。どのように描かれているかというと、黒っぽい地表を10センチほどはぎ取って、下の黄色い土の層をむきだしにして色の違いを出しているんですね。作られたのは2000年前から3000年前と言われていますが、あまりに巨大だったために飛行機が発明された20世紀になるまで存在が知られていませんでした。

数千年前の地面の跡が今でも残っているのは、この地方独特の天候のおかげ。なにしろ1年の降水量がたった数ミリで、風も一定しているため、長期間同じ地形が保たれたのです。上の巨大娘画像のように木をなぎ倒して描いた絵はすぐ消えてしまいますものね。

宇宙からしか見えない、超巨大地上絵!?

地面を削るだけの単純な描き方ですが、数百メートルから数十キロメートルに及ぶ巨大な絵を描くのは簡単ではありません。あまりに大きすぎて上空から見ないかぎり全体像が分からないからです。

超常現象の研究家・南山宏氏がNASAから入手した探査衛星からの地表写真には、なんと全長50キロメートルに及ぶ矢印の図形が描かれていたそうです。(『古代の人は空を飛んだのか?』という本に写真が載っています。転載はまずいのでぜひ本でご覧下さい。)

直線で描かれた図形はとても自然のいたずらとは思えません。宇宙からしか見えない図形を、古代の人々はどうやって描いたのでしょう?

謎だらけのナスカの地上絵は宇宙人が描いたとか、古代の文明には空を飛ぶ技術があったのだとか、様々な憶測を呼びました。

地上絵は何を表しているのか?

ナスカの地上絵に魅せられた学者に、ドイツ人数学者のマリア・ライヘがいます。彼女は地上絵で最も有名なサルの絵を発見したことでも知られています。ライヘの肖像はペルーの切手になっているほど尊敬されている学者なんですよ。

ライヘは1998年に95歳でなくなるまで地上絵の研究に生涯を捧げました。彼女は天体の動きと地上絵が密接な関係にあるという説を主張しました。ライへは地上絵は天体の暦(こよみ)を表しているというのです。数千年も前に天体の動きを把握していたなんて、超文明でもあったのでしょうか? この説を否定する学者もいますが、暦説は現在有力視されている仮説の一つです。

地上絵を描く方法は?

これだけ大きな図形をどうやって描いたのかについても、未だによく分かっていません。一説には杭とロープを使って弧を描くようにして、原画となる小さい絵を拡大して描いたと言われています。また熱気球を作る技術があったという説を支持する学者もいて、当時の人々が航空測量を行っていたという仮説も立ちます。

しかし数キロにも及ぶ直線を描くと、測量誤差が大きくなってだんだんと曲がってしまうはずなのに、きわめて正確に線が引かれているのは不思議です。これらの原始的な方法では説明がつきません。それに宇宙からしか見えないような巨大絵をこの方法で描くことはちょっと難しそうですね。

地上絵よ永遠なれ!

数千年も保たれたナスカの地上絵ですが、現在だんだんと消えつつあります。天候のせいではありません。人間のせいです。押し寄せる観光客がつける足跡や車の跡が、地上絵を少しずつ削っていっているのです。今ではぼんやりとかすんでしまって、昔ほどくっきりと線が見えなくなってしまいました。

人間の手で保護するべき世界遺産。なのに「人間が手を触れないでおくことが一番の保存方法」なんて皮肉ですね。ナスカの地上絵の謎が解ける未来まで、どうぞ残っていてくださいと祈るのみです。

参考文献

『世界ふしぎ発見! これが世界の新・七不思議』世界ふしぎ発見!制作スタッフ

ご存じ、TBS系の人気番組『世界ふしぎ発見!』が本になったものです。クイズ番組とあなどるなかれ。かなり詳細に取材してあって、スタッフの方の熱意が伝わってきますよ。

Nazca: LIne coming on (English) ※リンク切れ

地上で見るナスカの地上絵の線はこんな感じ。

このブログは2001年07月23日開設のサイト「幻想画廊」を2019年にWordpressで移築したものです。この記事は20年前の、2003年07月08日(火)に書かれました。文章の内容を変えずにそのまま転載してあります。リンク切れなど不備もありますが、どうぞご了承くださいませ。

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